問題にぶつかってみれば、問題の解決力に気づける。
みなさん、こんにちは!授業力向上委員会会長ハッシーこと、橋本雅由です。このブログでは、みなさんと「授業力向上のためのヒント」を共有してまいります。
今日のテーマは……
「問題にぶつかってみる」
です。
前回のブログでは、「目的を持った準備を大切にする」という話をしました。「教材を教えるのではなく、教材で教える」ということは、その教材を使って、明確に教えたい柱が、自分の中にしっかりと持てたうえで授業に臨んでいるということでした。
では、その柱を持つためには、どうすればいいのか??
今日は、そこのところをもっと具体的にしていきましょう!
生徒に教えたいことを強く感じるためには、まずは生徒にどんな力をつけてあげたいかを知る必要があります。その手っ取り早い方法として、「問題にぶつかる」つまり、
「問題を解いてみて、なぜそうなるのかを分かりやすく伝える方法を考える」
という手順を踏んでみるわけですね。
まずは、私の得意分野である国語を例にとって話を進めていきますね。
例えば、「枕草子」についての授業準備をしているとします。そして、その第一段「春はあけぼの……」の中に出てくる、
「やまぎは」と「やまのは」の違いを説明しなさい。
こんな問題にぶつかったとします。
調べればわかることです。「やまぎは」とは、「山の稜線のすぐ上の空」つまり、「山に接する部分の空」のこと。「やまのは」とは、「山の稜線、またはそのすぐ下の部分」つまり、「空の部分ではなく、稜線やその稜線のすぐ下の山の部分」のこと。
でも、生徒にとっては、これがまたややこしい。
そう、これこそが「問題にぶつかった状態」です。調べれば済むことだし、根性で丸暗記できれば早いもの。しかし、国語が苦手だったり、古文が嫌いだったりする子にとっては難しいと感じるもの。
私にとって、世界史に出てくるたくさんの「ルイ○世」の違いが全く理解できなかったのときっと同じように、ただ覚えればいいじゃん、ではすまされない。(笑)
そんなときこそ、
「これを生徒によりすんなり覚えられるように教える方法はないだろうか?」
と、「問題にぶつかって」そこから「その授業で伝えたい柱を明確にする」につなげる。あれこれ考えを巡らしてから、私の中の指導の柱は、
「単語を覚えるときには、文脈も大切にするとイメージがしやすいぞ!」
ということに落ち着いていました。
解説しますね。
「やまぎは」と「やまのは」は、言葉が似ているので、どっちがどの部分を指すのか、なかなか頭に入らないケースもあります。そんなとき、その単語だけではなく、その単語を含んだ一文の流れの中で単語の意味を考えてみます。すると、
春はあけぼの。やうやう白くなりゆく、やまぎは少しあかりて……
「やまぎは」が「少し明るくなって」というつながりに気づくことができます。生徒の多くは、「春はあけぼの」から「冬はつとめて」までを、学校で暗唱していますから、初めの部分を口に出すのは結構できてしまいます。もしそうでなかったとしても、上の文を見て、その時に言葉をセットでとらえることができれば、
なんてことはない。 「やまぎは」は明け方に「明るくなる部分」つまり、「山の部分」ではなく「空の部分」なんだ。と考えることができるようになるわけです。
明るくなった空があれば、それとは対照的な山の手前側の陰があるわけですからね。ビジュアルをイメージとして伝えていくのも有効でしょう。そうやって、
「もっとわかりやすく教えることを追求すれば、問題にぶつかることができる」
「そういう問題との衝突が、教えたい柱を明確にさせる」
というわけです。
些細なことでいいんです。ちょっとした発見をうれしく感じましょう。
そして、その小さなこだわりを、生徒に伝えてあげるようにしましょう。