授業を楽しむために大切なもの⑥
みなさん、こんにちは!授業力向上委員会会長ハッシーこと、橋本雅由です。このブログでは、みなさんと「授業力向上のためのヒント」を共有してまいります。
今日のテーマは……
「授業を楽しむ」パート6
です。このテーマは、前回に引き続き。ちょっと長めにあつかっていきますね。
皆さんの中で、
日頃の授業において、
「生徒の集中力をもっと持続させられないものか??」
というふうに悩んでいる方はいらっしゃいませんか?
そんな方に、ちょっとお役立ていただきたいのがこの視点です。
③どんな材料を用いるか決める
私はこれまでの記事の中で、授業を組み立てる手順を以下のようにお伝えしました。
①比喩を通して伝えたい柱を決める
②誰に対して伝えたいか、その対象を決める
③どんな材料を用いるか決める
④どのように受け手の頭や感情が動くかを想像する
⑤全員の一体感を作る場所を決める
⑥ユーモアを含める
⑦話の枕とエンディングを作る
⑧伝える言葉を選ぶ
⑨自分の授業を自分で見る
⑩身にしみこむまで繰り返す
今日は、その中の③についてお話していきますね。
前回、伝えたい対象が明確になることで、その対象に合わせた材料を選ぶことができ、それがその人との共感度を強めるというお話をしました。
私が組み立てた「比喩」の授業は対象が小6でしたが、その裏側に30~50代の人たちへのターゲット意識があったことは前回お伝えした通りです。
なにしろ、初めての全国大会出場ですから、前年に見学したことから得られる情報を有効活用して大会に臨もうと思ったわけです。当日の審査を務める方々には、塾の経営者や協会関係者、著名人や記者などバラエティに富んだ方々がいらっしゃいました。その方々の共感を得るべく、授業準備の教材選びにおいて、30~50代の方々をターゲットとしたわけです。
でも、そうなると……
「小6とおじさんおばさんの、両方を満足させられる情報でなくてはだめ」
という、なんともハードルの高い条件が生まれてくるわけなんですね。(笑)
教科長にも相談しながらウンウンうなって考えた末、出てきた答えが、
「小学校の教科書から題材を見つける」
だったんです!これがファインプレーとなりました。狙いは以下、
①小学校の教科書から引用することで、「既習の知識」をもとに生徒の頭を動かせる。
②教科書に載せられた文章は、「大人が、子供に読ませたい」という視点で選ばれて
いるはずだから、品格のある質の高い文章を扱うことになり、大人受けも絶対に良い
はず!
案の定、そこには素敵な比喩表現を用いた文章や韻文がたくさん載っていました。
そこで、素敵な出会い。
『祖母』 三好達治
祖母は蛍をかきあつめて
桃の実ように合わせた掌の中から
沢山な蛍をくれるのだ (以下省略)
この詩にある、「桃の実のように合わせた掌」を、500人のオーディエンスに一斉に形にしてもらいました。
こんな体験、もう一生できないと思います。(笑)最高でした。比喩の力。
自分が伝えたい事、ここでは、「比喩が持つ力」。イメージが共有できれば、喩え何千人でも、何万にでも、多くの人たちに同時に同じイメージが伝えられる力。
その他にも、比喩を通して、「書かれていないことまで読み取れるようになる力」や「先を推測させる力」なども、授業を通じてオーディエンスに伝えていきました。そのために、宮沢賢治の『よだかの星』などからも文章を引用しました。
多くの文豪たちや有名な作家たちが用いている表現には、舌を巻くものがたくさん。珠玉の表現は、世に溢れに溢れています。
そんな、心を込めて丁寧に選ばれた光り輝く言葉の数々を通して生徒たちに「考える時間」を提供できる教師という仕事は、本当にやりがいのある、素晴らしい仕事ですよね。
対象への適切な資料の選択は、授業中のオーディエンスの集中力を格段に引き上げます。また、引用する作品に込められたメッセージの性格によって、授業の雰囲気を上げたり下げたりもできます。授業の中に、空気の波、抑揚をつけることが可能なんです。
今は便利な世の中ですから、携帯電話一つで文豪たちの有名な作品を手にすることができますよね。
私は、職場までの道のりの途中、文教堂書店さんによく立ち寄ります。そこで得た情報の一つとして、
ハイブリッド総合書店honto
があります。私はまだタブレットを持っていないので、電子書籍デビューはしていないのですが、たまに、職場に多くの本を一度に持っていきたい時などは、
「タブレットがあったらな~」
とか思う時もあります。
でも、本はやっぱり紙が一番!ですよね。(笑)
とにかく、使い勝手に合わせて情報を得られるようですので、上のリンクもぜひお試しください。