生徒ガイダンス【授業における緊張感の創出】
みなさんこんにちは!授業力向上委員会会長(現在の会員は私だけ(笑))橋本雅由と申します!本日は生徒へのガイダンス編です。先生がたの授業の参考になる「すぐに使える!」
というネタをお伝えしていきますね!
本日は、
「生徒ガイダンス【授業における緊張感の創出】」
です。
授業に参加している子には様々なタイプの生徒がいますよね。
特に、集団授業の塾においては、
「目標を持って学ぶことが当たり前のようなクラス」
「勉強が苦手で、きちんと手を差し伸べないと勉強できないクラス」
「明るくて楽しい雰囲気はあるが、けじめがないクラス」
「静かで落ち着いてはいるが、活気がなく、受け身であるクラス」
など、そのクラスのレベルや特徴が如実に表れることも少なくないと思います。きっと、学力到達度に合わせてクラス分けをしていることが多いからでしょう。
さて、そのような中で、上手にクラスの雰囲気を上げるためにお勧めしたいガイダンスは、
「教師と生徒、双方に目的意識を持つ姿勢を伝えるガイダンス」
です。言葉がかたいので、少し噛み砕くと、要は
「教師と生徒のどっちも一生懸命であって初めて成績はのびるという話」
です。
「子曰く、憤(ふん)せずんば啓(けい)せず。悱(ひ)せずんば発せず。」
という言葉があります。「憤」とは、心が疑問でいっぱいである様子がうかがえることで、「悱」とは、言いたいことはあるがうまい表現が見つからない状態であること。
生徒自らがそのような状態にならなければ、解決の道を啓(ひら)いてやらないし、教え導いて(発して)やらない、という意味です。
約2500年前の識者の言葉が、まさに的を射たものだと思います。
先日、自分の教室の授業を受け持ってくださった派遣の先生に対しての、生徒の態度に目に余るものを感じたときのことです。
おだやかで優しい先生でしたので、やんちゃな中3の生徒にとっては「息抜き」の的になってしまったようです。授業をのぞいてみると、緊張感は無く、先生が話をされている間にも生徒同士で話をしている様子がちらほら。
疲れた生徒は机にべたっと頬を貼り付け、中には後ろを向いて話している生徒も。でも、まだ生徒との関係が作りきれていないことを自覚されている先生は、注意するもすべてを変えることはできずに授業を進めざるを得ない状況……。
もちろん、一生懸命授業を聞こうとしている生徒もいました。授業内容についても、上位クラスに対してはちょっと易し過ぎる退屈なものと感じられる部分もありました。
それでも、生徒たちの授業姿勢は、成績を上げるための理想的な環境とは程遠いものであると感じました。
そこで、以下のよう話をしました。
【ガイダンス内容】
私:「なんでのぞいていたかわかるかい?」
生徒A:「授業態度が悪かったから?」
私:「間違いではないけど、そういう表面的なことじゃない」
「のぞいていた時に、君たちを見ながら何を考えていたと思う?」
生徒たち:「・・・・・・」
私:「なぜみんなはいまがんばっているの?8月18日に行われる模擬試験の合格判定
は、君たちのやる気を大きく動かすでしょ?」
「一喜一憂するだろう。喜びならいい。それは次へのエネルギーになる。
でも、その結果がもし適当な努力から生まれたものなら、きっと油断や
慢心につながるだろう。そして憂いなら、君たちは自信や意欲を無くして
悶々と無駄な時間を過ごすことになるかもしれない。」
「結果が大事だってわかっているから、毎日いろんな宿題に追われながら
こうやって塾に来て頑張っているのに、今の在り方はなんだ??」
生徒たち:「・・・・・・」
私:「さっき、○○先生を教室の外に読んで話をしたのは、今の君たちにとって
優しすぎる内容に時間をかけていたから、もっとレベルとテンポを上げて
もらいたいということ。もっと、君たちに刺激のある授業にという気持ち
もあったからね。」
「でも、○○先生の持っている紙、目に入っただろ?ぎっしりと教材研究
がしてあって、たくさんの準備の上で授業に臨んでくださっている。」
「それなのに、君らの今の状況はどうだ?全員でないにせよ、先生の説明の
最中に話をする、問題が解けていないのに解こうとしない。」
「君らの課題は、授業に対しての姿勢が『贅沢』だということ。
面白くなければ聞かない。刺激がなければ聞こうとしない。
わかりやすくいうと、授業が自分にとって簡単すぎればすぐに
気を抜く。難しすぎれば、すぐに考えることをやめる。」
「基礎をおろそかにしたり、頭に汗かいて難しいことをあきらめずに
考える姿勢がないのに、どうやって成績が伸びるの?受験当日、
頼れるのは、鍛え上げた自分の頭だけなんだよ?」
生徒たち:「・・・・・・」
私:「授業は、自分を鍛える場だ。そういう主体的な意識があって、
自ら学ぼうとする姿勢があって、初めて話が自分の中に良く伝わる。
そのうえで出てきた疑問や課題が、君たちを成長させるんだ。
基礎を大事にしなさい。難しいことを考え抜く我慢強さを持ちなさい。
自分を鍛えられる環境を一緒に作っていこう。いいね。」
生徒たち:「はい。」
私は時々授業を「糸電話」にたとえます。双方から引っ張って糸を張らなければ声は届かないからです。そして、そういう姿勢を生徒に求めるからこそ、授業の内容や働きかけ方、目標についてもこだわりを持って準備をします。
そうやって創り出されていく環境が積み重なっていったとき、それは生徒からの信頼や、なかなか表に出ない心情の吐露、人前で見せない涙や、笑顔満面での合格報告につながってきます。
日本人はスピーチって、あまり印象にないですよね。歴史上有名なスピーチはいつも外人。国民性の問題ですかね。
国会議員じゃなくたって、賞を取った俳優じゃなくたって、大企業のCEOじゃなくたって、大切なことを力強く訴えなければいけない時があります。それは、我々教育に携わる人間が、将来に向けて意志ある、謙虚な子供たちを育てていくのに、間違いなく必要なスキルではないでしょうか。
その後の自習室の生徒の様子は、真剣そのものでした。ちなみに、上のスピーチは文字ですから、雰囲気までは伝えられませんが、ポイントは
決して感情的に怒りながら伝えないこと。気持ちをしっかり持って、力強く生徒たちに語りかける姿勢が大切なんです。
生徒に気づきと勇気を与えられる教師を、共に目指していきましょう。