ミニスピーチ ネタ②
みなさんこんにちは!授業力向上委員会会長(現在の会員は私だけ(笑))橋本雅由と申します!みなさんの授業の中で「すぐにつかえるネタ」をお伝えしたいと思います!
本日も、「生徒のモチベーションを上げるためのトーク」
です! 本日は、「感受性を磨こう!」
という話です。
日本人は、「日本耳」という力を持っている。
日本の大手企業であるSONYもこの日本耳を研究して音楽メディアプレーヤーなどに生かしているという記事を目にしたことがあります。
その記事には、「しんしんと雪が降る」というように、日本人が雪が降る様子を異国の人には感じられにくい表現で表すことなどを例に挙げて書かれていたと記憶しています。
我々日本人の持つ偉大な力の一つが、この古くから受け継がれてきた
「感受性」
ではないでしょうか。
物の機微を感じ取る力、些細な感情の起伏を感じ取る力。
勉強自体が社会に出る前の自分を磨く作業であれば、そこには、社会に出てからのコミュニケーション能力の向上に結び付く力をつけるというねらいがあってしかるべきですよね。
入試にむけて、志望校合格へのぶれない決意を持つこと。そこにはいかなる感情の入る隙もないくらいに。そういう状態が理想であることは間違いありません。
ですが、多くの学生は、自分の努力の過程で不安や迷いを感じ、そこにどのような意味を見出すか悶々としている時間を持つことでしょう。
そんなときにこそ、逆に
「情感の持つ力を利用してやる」
というわけです。
なぜなら、
「感受性を豊かにすることは、将来の人間力に大きく関わるはず」
だからです。
いいかえれば、
「悶々と不安を抱えるような人間らしさを持ち、その感情に押し流されない強さを持てば、不安や迷いを何も感じずに強く進める人よりもずっと強く優しい人になれる」
という感じでしょうか。
受験勉強がもし、殺伐とした空気につながっていたとしたら、生徒の感情が麻痺している状況を生み出しているかもしれません。感情の麻痺は、強さではありません。時に、そのような勘違いをしないようにするために、以下のようなトークを挟んではいかがでしょうか。
【トーク例】
何かを見て、何かを感じたときに、それが君らの別の知識と結びつくことが、
「自分が一人じゃないんだ」
って、感じられるひとつのきっかけになり、それは、思ったより心強い支えになったりするんだ。
その君らの「別の知識」は、音楽でも、映画でも、絵画でも、文学作品でも何でもいい。
たとえば、『百人一首』なんてどうかな?
今から800年以上昔の人たちが考えていることが、今目の前の景色につながってきたとしたら??
目の前に月が出ている。みんなも、きれいに晴れた夜空にくっきりと浮かぶ満月がいつもよりちょっと大きく見えて、そしていつもよりちょっと強く光り輝いているように見えたら、ちょっと見とれてしまう時があったりするんじゃないかな。
そんなとき、次のような歌が思い浮かんだら素敵じゃない?
『ほととぎす 鳴きつる方(かた)をながむれば ただ有明の 月ぞ残れる』
後徳大寺左大臣
(ほととぎすが鳴いたほうを眺めると、そこにはただ有明の月が残っているだけである)
季節の移り変わりに敏感だった王朝の人々は、夏が来たことを告げるほととぎすの初音を聞きたくて聞きたくて夜通し待っていることもあったんだって。ほととぎすは夜明け前の暗い時に鳴くことが多かったから。
この歌からは、その声を聴いた瞬間の喜びと、その声の主を見ることができなかった心残りを短い言葉の中に一瞬の出来事としてあらわしているでしょ?すごいよね、本当に。
そして、目の前は夜が明けそうな時の月ではないけれど、夜明けの月を見てみたいなとか、ほととぎすの声を聴いてみたいなとか、その時の作者の気持ちにぐっと引きよせられる感じがする。
自分のことばかりじゃなくただ、
相手の立場になりなさいとか、
相手の気持ちを考えなさいとか、
いわゆる「正論」ではなくて、
単純に、感動し、共感し、
その気持ちに寄り添いたいと思う。
そういう時って、
もうすでに自分一人ではないんだよね。
自分のことばかり考えてあくせくしている状態
ではなくなる。
少し心が落ち着いて、
穏やかに、そして優しくなれる。
何かの悩みが直接解決するわけじゃないし、
具体的な対処法が学べるわけでもないけれど、
そういう「感じる力」が、
心のエネルギーになってみんなを支えてくれるはず。
だから、
たくさんの芸術作品に触れて、
自分の日常と結びつけ、
日常に潜む感動の瞬間に、
その作品の作者、登場人物、モデルといつか共感できる
「何か」を自分の中にたくさん作っていこうね。
さあ、美術館に行こう!(笑)
と、こんな感じでしょうか。
ちなみに、この話を生徒にするきっかけになったのは、
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この本です。
初めは、生徒のテスト対策
くらいの軽い気持ちで購入したものですが、
いざ読んでみると、歌ひとつひとつに読み込まれた
作者の心情や、人物像、見えづらい背景などが
非常に分かりやすく、丁寧に解説されていて
とてもすばらしい本だと感じました。
ぜひ、お手に取って生徒へのミニスピーチに、
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