教師の生徒対応のヒント⑦
みなさんこんにちは!授業力向上委員会会長(現在の会員は私だけ(笑))橋本雅由と申します!みなさんの授業の中で「すぐにつかえるネタ」をお伝えしたいと思います!
本日は、「モチベーションを上げるトーク」
です!ですが、
今回は、単に元気づけるとか励ますとかではなく、
「生徒自身の心構えを変える」
というアプローチ。
生徒たちは、我々との関係が作られてくると、リラックスから思ったことをどんどん口にするようになります。これだけ暑い毎日が続きますから、部屋の冷房の温度調整も難しいところなのですが、
一人の生徒が「暑い」というと、他の生徒が「寒い」といい、どちらに合わせるべきか……なんてことになるのもしばしば(笑)
「まったく、本当に現代っ子だなぁ、きみらは。まったく恵まれて育ってきてる(笑)夏は暑い、冬は寒い、それが当たり前なんだけど、快適な温度の中でしか暮らせなくなってきてるよね~(笑)」
などと、自分のことは棚に上げて冗談っぽく話を逸らしたりすることもたま~にあります。(笑)だいたいが、寒い人に合わせて温度や風向きを変えたり、こまめに温度調節をして乗り切りますが。。。
話はそれましたが、本日の話は、
「そういう生活の中で、生徒たち自身の心や気持ちがどう動くか」
に焦点を当てて、
「当たり前に持っている心構えを変えることで、不安や不満を感じにくくする」
という狙いの話です。
ここで用いやすいたとえは、
「舗装されたアスファルト」か「自然のままの山道」か、というもの。
《トーク例》
受験勉強に向けて、「温故知新」の考え方は、どの学年においても重要だね。ここで大事なのは、古きをたずねたことで、ちゃんと新しきを知ったかどうか。つまり、過去の問題のレベルだけにとどまらず、これからそのレベルがどう発展していくかに目を向けられるかどうかが重要だということ。「想定範囲」を過去の問題のレベルに完全に合わせて考えてしまわず、その先のレベルで戦える力をつけていこうというわけだ。
そうはいっても、なかなか日常の忙しさの中で、すべてを想定し切ってパーフェクトに乗り越えるのは難しいもの。1日を計画通りに完全にこなすことさえ難しいのに、それを毎日続けるのは本当に至難の技だろう。
だから、うまくいかないことはたくさんあって当たり前。むしろ、その時に、どのような心構えでいるかが大事なんだ。
僕ら日本人はとても恵まれた環境で生活ができている。だから、
これをしてもらえて当たり前、
過ごしやすい環境があって当たり前、
さらにエスカレートしていくと、
「できないのは環境のせい」
「失敗は周りに責任があるから」
という考えに陥ってしまうこともある。
でも、それでは自分の成長は無い。
大事なのは、
「人生は、うまくいかないことの連続」
「誰だって、初めはできないことから始まることがほとんど」
という、あたりまえからスタートしているかどうか。
誰の言葉だったでしょうか。おそらく、東京大学名誉教授の養老孟司さんがおっしゃっていたことだったと思います。
「もし、舗装されたアスファルトの道に突然大きな穴が開いていてそこに落っこちたら、その人は『なぜこんなところに穴が開いているんだ!』と怒るかもしれない。でも、それが山道に開いていた穴だったら、落ちてもおこらないでしょう?だって、穴が開いているかもしれないことは、自然の山道なら当たり前に想定できるから。」
みんなの人生も、舗装されたアスファルトなんかじゃなくて、山道なんだ。
だから、とっても歩きづらいこともあるし、ときには、木の根につまづいたり、沼地に足を取られたり、大きな岩に行く手を阻まれたり。坂道だってある。穴だって開いている。すべったり、ころんだり。それでも、一生懸命頂上を目指して登っていくと、いつか周りは大きく開けて、今まで見たこともないような美しい景色を目にすることができる。そういうものなんだ。
だから、まずは自分たちがどんな環境で過ごしているのか、すこし大人の視点で見る目を持っておこう。そうすると、いろんなことに対して揺さぶられる感情を、少しだけ落ち着かせることができるよ。また、努力がすぐに結果に結びつかない時のあせりやいらだちを抑えやすくもなる。
「人生はすべてがうまくいかないから楽しい」
そういうスタンスで物事を見ていこう。そして、そのなかに何か目標を見つけたときは、その目標=頂上を目指して、一生懸命歩こう。歩きづらい道を、一歩一歩ね。
このようなことを生徒に話すことで、生徒の中で「当たり前に持っている心構え」に影響を与えることができます。すると、
「多少の困難は当たり前」
というスタンスになり、ちょっとのことで大きく悩んだり不満を感じたりということが少なくなります。
「苦しいときにどう在れるかが、その人の人間力」
と、よくいわれますが、ほんとうに大人度が高い生徒たちを育てていきたいものですね。