ラ・イ・ブな授業!

授業準備・教材研究のヒントとなる情報を掲載します!

授業を楽しむために大切なもの⑩

みなさん、こんにちは!授業力向上委員会会長ハッシーこと、橋本雅由です。このブログでは、みなさんと「授業力向上のためのヒント」を共有してまいります。

 

 今日のテーマは……

 

「授業を楽しむ」パート10

 

です。このテーマは、前回に引き続き。かなり長めにあつかっております。

 

本日は、以下の授業の組み立ての⑧を扱います。

 

①比喩を通して伝えたい柱を決める

②誰に対して伝えたいか、その対象を決める

③どんな材料を用いるか決める

④どのように受け手の頭や感情が動くかを想像する

⑤全員の一体感を作る場所を決める

⑥ユーモアを含める

⑦話の枕とエンディングを作る

⑧伝える言葉を選ぶ

⑨自分の授業を自分で見る

⑩身にしみこむまで繰り返す

 

ちなみに、長くなっておりますのでちょっと補足。①の「比喩」は、私の全国模擬授業大会出場授業で日本一をとった時のテーマです。みなさんは、ご自身のテーマに置き換えてお考え下さい。

 

今日は

 

⑧伝える言葉を選ぶ

 

についてお話していきます。

 

これは、この10項目の中でも、皆さんにお伝えするのが難しい部類に入ります。

 

皆さんは、授業を準備するときに、

 

「セリフの下書き」までおこないますか??

 

まぁ、時と場合によりますよね(笑)

 

もしかしたら、ほとんどされたことがないかたもいらっしゃるかもしれません。

 

それでいて、生徒の聴く姿勢がつくりきれないんだよな~、なんてお悩みの方がいらっしゃれば、ぜひ!!すぐにでもやってみてください。

 

まずは、自分がどんな言葉で授業をしようとしているのか、自分の目ではっきりと見るために

 

「文字にしてみる」

 

ということが、結構大事だったりするんです。

 

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上の写真は、私が全国模擬授業大会の授業に向けて書いた、セリフの走り書き。15分一本の授業を準備するのに、1冊のノートを使い切るくらいです。

 

それでも、書き出した言葉からは、なにかささくれのような気持ち悪い突っかかりがあるものが出てきます。書いてみて、初めて気づける鈍さやまどろっこしさがあるんです。

 

書いて、気づいて、直して、言ってみて。

 

それを繰り返していくことで、言葉は洗練されていきます。

 

この授業の後半に、宮沢賢治の「よだかの星」を引用した場面を用いた時に、

 

「寒さや霜がまるで剣のようによだかを刺しました」

 

という比喩の、「よだかを刺しました」をどう表現するか。

 

さて、選んだ言葉によって、その授業のカラーは大きく変わってきます。

 

明るいくて軽い雰囲気にしたければ、

 

「痛いよね~!剣で刺されたら。みんなは刺されたことある?ぼくはね~、うしろ指ならある。これはね、心が痛いね~(笑)」

 

なんて、冗談を言えばいい。

 

でも、私はここの場面では、しっとりとした雰囲気を作りたかったので、その言葉のチョイスでは不適切だったんです。

 

ここについて「みんな、どう?」って発問したのでは、正直どんな答えが返ってくるかわかりません。時間に余裕がある授業では、それでいいのかもしれませんが、制限があるなかであれば、

 

「答えを言わず、でも、みんなの頭が同時に動くようなヒントになる発問がしたい」

 

例えば、

 

「みんな、賢治はなぜ針(はり)や錐(きり)ではなく、剣(けん)という言葉を選んだんだろう?」

 

こんな感じで。

 

この発問の狙いは、

 

「刺さる物のサイズ感を、聴衆が勝手に想像してくれるはず」

 

とでもいうべきなのでしょうか。それは同時に、

 

「よだかの傷の大きさ」

 

にまで及びます。そこから、

 

「その先に描かれる”よだかの死”という未来」

 

に結びついていく。そうやって、聴衆の頭が同時に動いていく。

 

選ぶ言葉が、相手の頭の動かし方を左右する。まさに、魂のこもった意図が含まれた言霊になって相手に届くんです。

 

だから、⑧伝える言葉を選ぶ は大事なんですね。

 

何とか説明できましたでしょうか??

 

皆さんも、たくさんの授業準備の中で、たくさんの言葉選びを楽しんでくださいね。それは必ず、皆さんの授業に磨きをかけ、生徒の集中と笑顔を増やしてくれることと確信しています。